隠れたエントロピー生成
異なる階層の間の関係をエントロピーによって議論する際に登場する隠れたエントロピー生成についてまとめておきました。今回は隠れたエントロピー生成の定義と積分型揺らぎの定理について
https://arxiv.org/pdf/1209.6333.pdf
を参考にまとめておきます。非平衡定常状態での階層性については
https://arxiv.org/pdf/1211.3805v1.pdf
が参考になりそうです。
2020/5/08追記
非平衡定常状態との関連について揺動応答関係(fluctuation response relation: FRR)の破れについて数行付け足しました。以下の論文によればHarada-Sasa等式によれば定常状態の系のエネルギー散逸率はFRRの破れと結びつけることができます。FRRの破れはpotential switching modelにおけるPoisson過程に従う変数と粒子の位置変数のタイムスケールを分離するとゼロになりますから、これはちょうど平衡状態と非平衡定常状態の間に生まれる隠れたエントロピー生成に対応しており(エネルギー散逸率=FRRの破れ(の積分)ですからエントロピーとの次元は温度入れれば合います。)、その大きさをFRRの破れのスペクトルによって視ることができるということが分かっています。
https://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.117.070601