nayochev3teamのブログ

主に勉強したことをメモしたり参考書の書評を書いてみたりしています。したがってメモの中には間違えている部分も少なからずあることをご了承ください。

CA効率

熱力学のCA効率についてまとめておきました。

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2020/09/05追記

ここでは内部可逆の仮定とFourier則からCA効率を導いた。しかし、最近になって内部可逆の仮定がない場合でも2つのBrown粒子から成る系の最大パワー効率がCA効率と一致することが示されている。このことから内部可逆の仮定は必要条件ではない。

熱力学おすすめロード(?)

熱力学は本によって流儀や前提が異なるためどういう順番で学ぶのが最適なのか未だに分からないのですが、もし自分が過去に戻って学び直せるならこの順で勉強したいという意味でロードを作りました。

 

1冊目: 菊川芳夫「熱力学」

標準的なテキストと言っていいと思います。まえがきによるとFermiのテキストを参考にしているようです。本書ではまず経験温度で議論を進めた後にカルノーの定理で絶対温度を定義します。絶対温度についてだけで1章割かれていて自分はその章を見るために購入しました。

熱力学 (講談社基礎物理学シリーズ)

熱力学 (講談社基礎物理学シリーズ)

  • 作者:菊川 芳夫
  • 発売日: 2010/11/11
  • メディア: 単行本
 

 

1冊目: 久保亮五 編「大学演習 熱学・統計力学

演習書として利用する方が多いようですが解説部分が非常に丁寧に慎重に議論されているように感じます。公理論的ではありませんが、第0法則による温度の存在定理などはかなり参考になりました。

大学演習 熱学・統計力学

大学演習 熱学・統計力学

  • 作者:久保 亮五
  • 発売日: 1998/09/01
  • メディア: 単行本
 

 

2冊目:田崎晴明 「熱力学 現代的な視点から」

等温環境を認めて等温過程から始めるスタイルです。そのため熱の定義が後半に成されるため従来の第1法則から考えるテキストとはかなり違うので1冊目には厳しいと思います。ですが、論理に隙の無い教科書だと思います。かなり数理色が強く証明を追うことはできても飲み込むのに時間を要する印象です。

熱力学―現代的な視点から (新物理学シリーズ)

熱力学―現代的な視点から (新物理学シリーズ)

  • 作者:田崎 晴明
  • 発売日: 2000/04/01
  • メディア: 単行本
 

 

2冊目: 佐々真一 「熱力学入門」

数学的な厳密性をやや犠牲にしつつも整然とした論理で書かれていると思います。特徴としてはエントロピーを断熱過程の不可逆性の指標として導入する節があります。

熱力学入門

熱力学入門

  • 作者:佐々 真一
  • 発売日: 2000/04/01
  • メディア: 単行本
 

 

3冊目: 清水明 「熱力学の基礎」

熱力学関数としてのエントロピーの定義から始まります。そのため物理のテキストというより凸関数の理論を熱力学を舞台にして書いたテキストのように感じます。多くのテキストでは平衡状態が(TVN)で書かれますがこの本では(UVN)なので、これを読んでやっと統計力学の基礎を理解できたように感じます。

熱力学の基礎

熱力学の基礎

  • 作者:清水 明
  • 発売日: 2007/03/01
  • メディア: 単行本
 

 

3冊目: H. Callen 「熱力学および統計物理入門」

公理論的な熱力学の先駆的なテキストだと思います。エントロピー表示の熱力学から始まる論理は上の本と同じです。下巻にはオンサーガーの関係式についての章やエントロピー表示の統計力学の導入の章があります。

 

その他、良いテキストがありましたらコメントして貰えると嬉しいです。

等重率の原理

統計力学で最初に習う等重率の原理についてメモをとりました。

田崎先生の「統計力学I」の問題2-5、2-6が内容に対応しています。


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2020/06/12追記

 ここで述べたようなShannonエントロピーに適切な拘束条件をつけて確率分布を導出する方法はJaynesによって提案された。しかし、これによって等重率の原理が要らなくなるかというとそうではない。等重率の原理と言う仮説が最大エントロピー原理という仮説にすり替わっただけである。どちらの方法が論理として優れているということはない。

 しかし、最大エントロピー原理は熱力学形式と呼ばれる分野では成功を収めており、全く意味がないわけではない。しかも最大エントロピー原理はlarge deviationの文脈で理解することもできる(これはS先生に教えて戴いた)。

無限レンジ模型

無限レンジ模型についてメモをとりました。

無限レンジ模型は自分以外の全てのスピンと同等に相互作用するという(一見イカれた)模型なのですが実はその厳密な解析結果が平均場近似と等価というすごい模型です。

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解析力学おすすめロード(?)

1冊目:伊藤克司 解析力学(基礎物理学シリーズ)

解析力学 (講談社基礎物理学シリーズ)

解析力学 (講談社基礎物理学シリーズ)

大学の学部で習う標準的な内容を一通り網羅してあるかんじでした。ただ説明はそれほど詳しく丁寧に書いてあるわけではないです。でも一度理解した後は忘却しても復習にはこれ1冊で済むと思います。

1冊目:小出昭一郎 解析力学(物理入門コース)

解析力学 (物理入門コース 新装版)

解析力学 (物理入門コース 新装版)

きちんと読んだことがありませんが上の本と同様に標準的な教科書だと思います。(新装版は非常にコンパクトでいつでもどこでも持ち運んで力学できます。)

補習:前野昌弘 よくわかる解析力学

よくわかる解析力学

よくわかる解析力学

  • 作者:前野昌弘
  • 出版社/メーカー: 東京図書
  • 発売日: 2013/10/10
  • メディア: 単行本
上の2冊は説明が簡素なので計算の目的や疑問点を自分で埋めていく必要があるのですが考えてもよく分からないときは、助けて前野先生!(前野先生の本はどれも説明が丁寧で詳しいです。)この本も通読したことはなく、勉強の際に疑問に思ったことを開くとこの本のどこかにヒントや答えが書いてあり非常に助かります。

2冊目:高橋康 量子力学を学ぶための解析力学入門 増補第2版

量子力学を学ぶための解析力学入門 増補第2版 (KS物理専門書)

量子力学を学ぶための解析力学入門 増補第2版 (KS物理専門書)

  • 作者:高橋 康
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2000/10/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
解析力学を対称性や保存則を中心に考えていく本です。ネーターの定理やラグランジアン不定性についての議論が詳しいです。(個人的には語り口調の文章が好きです。)

2冊目:西野友年 ゼロから学ぶ解析力学

ゼロから学ぶ解析力学

ゼロから学ぶ解析力学

ゼロから学ぶと書いてある通り初めて学ぶときでも読める本ですが解析力学を一通り学んだ後だと時々登場するオヤジギャグの面白みが増しまし。

3冊目:ランダウ=リフシッツ 力学

力学 (増訂第3版)   ランダウ=リフシッツ理論物理学教程

力学 (増訂第3版) ランダウ=リフシッツ理論物理学教程

この本でようやく力学の理論の美しさが見えてきました。比較的コンパクトですが1行1行よく噛み砕いて納得しながら読むといいと思います。